ツブノセミタケ Perennicordyceps prolifica

2021/6/20,京都府

ツブノセミタケ Perennicordyceps prolifica

 子実体はツブタケ型、地上部の長さ10-30㎜、1から数本直生する。柄は樹枝状で表面には縦じわや凹凸を生じ、未熟時は灰白色、後に淡黄褐色から褐色になる。結実部は未熟時に白色、成熟時には黄褐色から褐色、または淡桃色など。子嚢殻は最初白色の菌糸をまとうが、後に裸生。地中部は強靭な繊維質で50-300㎜、しばしばそれ以上に長くなり、黄褐色から白色。

 多年生・越年生があり、周年見られるが、成熟するのは夏期であることが多い。各種林内地上に発生するが、経験上ヒノキ林で発生することが多い。

 清水図鑑には亜種としてヒメハダカセミタケが掲載されているが、本種の小型個体であると思われる。

2022/2/14,京都府

2020/8/12,京都府

2020/7/24,京都府

2020/7/24,京都府



参考文献-(1),(2),(3),(4),(5),(8)


シャクトリムシハリセンボン Ophiocordyceps sp.

2020/7/24,京都府

シャクトリムシハリセンボン Ophiocordyceps sp.

 子実体は短いハリタケ型、長さ5-7㎜、直径0.4-0.6㎜、淡褐色から淡灰褐色、宿主の体節から10数本直生する。子嚢殻は裸生で、飴色または淡茶褐色。
 シャクガの幼虫から発生する。

 成熟するのは7から8月の夏期だが、未熟な個体や古い個体は年中見られる。渓流沿いの常緑低木の枝上などで見られる。

 本種を井岡山虫草 Ophiocordyceps jinggangshanensis と同種だとする向き(日本産きのこ目録 など)もあるが、ここでは別の未記載種として扱った。また、2018年にタイから記載された Ophiocordyceps geometridicola にもよく似ている。原色冬虫夏草図鑑や冬虫夏草生体図鑑では二次胞子に分裂するとされているものの、現在確認されている多くの個体で二次胞子への分裂は見られない点なども含めて検討が必要であると思われる。

2020/10/27,乾燥標本。

参考文献-(1),(3),(4),(5),(19)

ホソエノコベニムシタケ Blackwellomyces cardinalis

2021/7/25,京都府

ホソエノコベニムシタケ  Blackwellomyces cardinalis

 子実体はタンポ型もしくは棍棒型、長さ5~15㎜、1から数本直生、または地中で分岐する。地上部は淡橙色から橙色、地中部は白色を呈することもある。結実部の肉の色は白橙色から白紅色、子嚢殻は橙色から紅色、半裸性。
 小形の鱗翅目の幼虫に発生する。

 6月から9月にかけての夏期に発生。

 本種の和名と学名には一時期混乱が見られ、ここで掲載した種をホソエノコベニムシタケ(財田型)としていたこともあったが、財田型をこの名前に当て、もともと記載されていた系統のものを保留種として整理された。
 また、2017年になってCordyceps属からBlackwellomyces属(新設)に移された。
 余談だが、「冬虫夏草ハンドブック」に掲載されている本種とされるものはウスアカシャクトリムシタケだと思われ、同じ個体の写真が「冬虫夏草生態図鑑」にはウスアカシャクトリムシタケとして掲載されている。

2020/7/24,京都府

2020/7/24,京都府

参考文献-(1),(5),(18)