検索表/Identification key

完全世代の虫草の属の検索表(暫定,ver2.0)

 日本国内で確認されている虫草の、肉眼的な特徴をもとにした属までの検索表です。
 基本的には、まず宿主から調べ、次に子実体の形態を見る、という順番になっています。なので、複数箇所に重複して出ている属があります。また、虫草は分子系統学的な検討を行われている種と行われていない種が混在しています(特に旧Cordyceps属と旧Torrubiella属)。なるべくそれらを混乱させないように記述したつもりですが、一部分かりづらい箇所があるかもしれません。
 また、虫草に対する重複寄生のものや、海外の種には対応していません。(そこまで調べる余力がなかった...)

※素人が文献を斜め読みして作った検索表です。なるべく間違いのないように記述はしていますが、もし間違いなどを発見されましたら、この投稿のコメント欄かTsukuruのtwitterまでお知らせください。また、近年は属の変更が頻繁に行われており、こちらの更新が最新情報に追いついてない場合がありますことを、ご承知ください。
また、技術的な問題で、ある程度一行あたりの横幅を確保しないと非常に見づらくなっています。申し訳ございません。



0
I. 宿主は節足動物(卵・卵のうを除く) → 1
I. 宿主は節足動物ではない → II
    II. 宿主はツチダンゴ属の子実体  → Tolypocladium属
    II. 宿主は双子葉植物の種子 → Shimizuomyces属
    II. 宿主はバッカクキン属の菌核(麦角) → Tyrannicordyceps属
    II. 宿主は動物の卵もしくは卵のう → III
        III.  宿主はヤスデ類の卵 → Metarhizium属
        III.  宿主はヤスデ類の卵ではない → IV
            IV . 宿主はカマキリムシの卵のう → Petchia属
            IV . 宿主はクモ類の卵のう → Torrubiella属(広義)

1
A. 宿主はクモ綱 → 2
A. 宿主はクモ綱でない → B
    B. 宿主は双翅目(ハエ目) → 2
    B. 宿主は鱗翅目 → 4
    B. 宿主は鞘翅目(コウチュウ目) → 5
    B. 宿主は半翅目(カメムシ目) → 6
    B. 宿主は蜻蛉目(トンボ目) → Ophiocordyceps属
    B. 宿主はバッタ目(狭義) → Ophiocordyceps属
    B. 宿主はゴキブリ目 → C
        C. 宿主はゴキブリ科 → Ophiocordyceps属
        C. 宿主はシロアリ科 → Cordyceps属(広義)
    B. 宿主は膜翅目(ハチ目) → D
        D. 宿主は蛹(マユ) → Cordyceps属(狭義)
        D. 宿主は蛹(マユ)ではない → E
            E. 子実体は橙色、棍棒型、子嚢殻は半裸性 → Cordyceps属(狭義)
            E. 上の条件に一致しない → Ophiocordyceps属

2
A. 宿主はザトウムシ → Torrubiella属(広義)
A. 宿主はクモ → B
    B. 地生型 → C
        C. 宿主はキシノウエトタテグモ → Purpureocillium属
        C. 宿主はキシノウエトタテグモではない → D
            D. 有柄 → Akanthomyces属
            D. 柄を欠く → Torrubiella属(広義)
    B. 気生型 → E
        E. 子嚢殻は裸生で菌糸に覆われず、透明感があり微小で密生する → Torrubiella属(広義)
        E. アナモルフは、分生子柄の上に分生子を球状の塊に形成する → Gibellula属
        E. 上のいずれにも当てはまらない。有柄のことが多い → Hevansia属

3
a. 宿主は双翅目(ハエ目) → b
  b. 宿主は成虫 → Ophiocordyceps属
  b. 宿主は幼虫か蛹 → c
   c. 気生型 → Torrubiella属(広義)
   c. 気生型ではない → d
            d.子実体はタンポ型 → Paraisaria属
    d. 子実体はクビオレ型 → Ophiocordyceps属
    d. 子実体は白色系 → e
     e. 子嚢殻は球形から亜球形→ Hypocrea属
                  e. 子嚢殻は球形や亜球形ではない → Tolypocradium属

4
A. 宿主は成虫、気生型 → Akanthomyces属
A. 宿主は幼虫か蛹 → B
    B. 子実体は緑色系、子嚢殻は斜埋生 → Metarhizium属
    B. 子実体は緑色系、子嚢殻は斜埋生ではない → C
        C. 子実体は赤色から黄色、もしくは橙色 → D
           D. 子嚢殻は斜埋生 → Metarhizium属
           D. 子嚢殻は斜埋生でない → E
              E. 結実部は白橙色、子嚢殻は半裸性で結実部より濃色(赤橙色)で、
                   宿主は幼虫 → Blackwellomyces属
              E. 直前の特徴に当てはまらない → Cordyceps属(狭義)
        C. 子実体は白色から白黄色 → F
   F. 子嚢殻は斜埋生 → Yosiokobayasia属
   F. 子嚢殻は斜埋生でない → Cordyceps属(広義)
        C. 子実体は上記以外の暗色で、未熟時には薄紫色を呈することもあり、
             繊維質で強靭なものが多い。宿主が鱗翅目のものは裸生型が多い → Ophiocordyceps属

5
 A. 宿主は成虫 → B
  B. 宿主はオサムシ → Ophiocordyceps属
  B. 宿主はコガネムシ科もしくはハネカクシ科 → Beauveria属
 A. 宿主は幼虫か蛹 → C
  C. 子実体は緑色系、子嚢殻は斜埋生 → Metarhizium属
  C. 子実体は白色系でハスノミ型、朽木生 → Tolypocladium属
  C. 子実体はツブタケ型で、子嚢殻は裸生 → Perennicordyceps属
  C. 上記の条件に当てはまらない → 7

6
A. 宿主はセミ → 8
A. 宿主はカメムシ・アワフキムシ・ウンカ → Ophiocordyceps属
A. 宿主はヨコバイ → Podonectrioides属
A. 宿主はハゴロモ → Torrubiella属(広義)
A. 宿主はコナジラミ → Moelleriella属
A. 宿主はカイガラムシ → B
 B. 子実体は有柄 → Ophiocordyceps属
 B. 子実体は柄を欠く → C
  C. 子嚢殻は披針型 → Conoideocrella属
  C. 直前の特徴を満たさない → Torrubiella属(広義)

7
a. 子実体は暗色で、未熟時には薄紫色を呈することもあり、
    肉は繊維質で強靭。クビオレ型のものは全て本属→ Ophiocordyceps属
a. 子実体は明色 → b
   b. 地生型で子実体の地中の柄は白色菌糸状で、宿主はコガネムシの幼虫 → Beauveria属
   b. 子実体はタンポ型 → c
     c. 子実体は白橙黄色、地生型 → Paraisaria属
     c. 直前の特徴に当てはまらない → Ophiocordyceps属
   b. Vのいずれの特徴も満たさない → Cordyceps属(広義)

8
a.  宿主は成虫→ Purpureocillium属
a.  宿主は幼虫→ b
 b. 子実体はオリーブ色から黒緑色、子嚢殻は埋生または半裸性  → Tolypocladium属
 b. 子実体は緑色系、子嚢殻は斜埋生 → Metarhizium属
 b. 子実体はツブタケ型で、子嚢殻は裸生 → Perennicordyceps属
 b. 上記のいずれの特徴も満たさない → c
        c. 子実体は棍棒型 → d
      d. 子実体は褐色から赤褐色 → Ophiocordyceps属
      d. 子実体は白黄色から黄褐色 → Cordyceps属(広義)
        c. 子実体はタンポ型 → e
      e. 子実体の地上部は枝分かれし、結実部は不規則にゆがむ → Polycephalomyces属
      e. 直前の特徴に当てはまらない → Paraisaria属
        c. 上記のいずれの特徴も満たさない → Cordyceps属(広義)

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