イシガキセミタケ(仮称) Ophiocordyceps aff. pseudolongissima

2023/4/3, 沖縄県

イシガキセミタケ(仮称) Ophiocordyceps aff. pseudolongissima

 子実体は棍棒型、長さ50-120 mmで、宿主から通常1本が直生する。結実部と柄の境はやや明瞭。結実部は未熟時に淡褐色から淡赤色、のち成熟するとバラ色から赤色、赤褐色。柄部は円柱形で褐色から橙褐色・赤褐色で、地中部は短い傾向にある。子嚢殻は埋生、赤色。
 地中のセミ(イワサキゼミ?)の幼虫から発生する。

 3月-5月の春季を中心に発生。現在のところ、石垣島・西表島からのみ知られる。

 イリオモテセミタケ O.pseudolongissima に近縁な種だと思われるが、子実体(特に地中部の長さ)や子嚢胞子の形態的特徴、発生時期などがイリオモテセミタケとは異なっているため、ここではこの学名とした。なお「イシガキセミタケ」の仮称は、盛口満『新訂 冬虫夏草ハンドブック』に掲載されている名前である。
 本種とイリオモテセミタケは、発生場所・時期がかぶる場合があるため、長らく混同されてきた。特に、『冬虫夏草生態図鑑』には本種が「イリオモテセミタケ」として掲載されているため、注意が必要である。

2023/4/4, 沖縄県

2023/4/11

子嚢胞子(×400).

参考文献- (1), (2), (3), (4)

イリオモテクマゼミタケ Purpureocillium sp.

2024/6/11, 沖縄県

 イリオモテクマゼミタケ Purpureocillium sp.

 子実体はこん棒型で長さ10-30 mm、未熟時は灰色から薄黄色、のち成熟すると褐色から暗褐色で、宿主のあちこちから多数が直生する。結実部と柄の境は不明瞭。子嚢殻は暗褐色から黒色で埋生、孔口は突出する。
 宿主や子実体の表面には、しばしば虫ピン状のアナモルフが見られる。アナモルフの分生子の色は薄紫色。PDA培地で培養した場合も、コロニーの表面に紫色の分生子を形成する無性世代が観察される。
 主にセミの成虫(クマゼミ、ヤエヤマクマゼミ、リュウキュウアブラゼミ、オオシマゼミなど)から発生する。

 5-7月の夏季に多く発生するが、それ以外の季節に発生が見られることもある。現在のところ、南西諸島でしか見つかってない。

 本種の発生しているセミや本種の子実体の表面には発生するアナモルフは、セミノハリセンボンに類似している。また、形態が類似した完全世代の種にコニシセミタケ、スズキセミタケなどがあり、本種とその近縁種は分類に整理が必要と思われる。

2024/6/11, 沖縄県 やや若い個体.

2024/6/11, 沖縄県 アナモルフが同居する個体.

PDA培地上のコロニー.

子嚢胞子(×400, グリーンフィルターでモノクロ撮影)


参考文献-(1), (2), (3), (4)